スペイン語のアルファベットは下の表に示したとおり。( )で示したものは現在は正式なアルファベットとしては見なされていないものだが、実際の生活では使われることがあるので知っておくとよい。
スペイン語の発音そのもの、アルファベットの読み方、それぞれに地域差や個人差がある。一つのアルファベットに複数の発音を示したのはそれが理由だ。代表的なものを示してある。
見慣れない発音記号があるのではないだろうか。ここではアルファベットの発音に関係するもののうちで特徴的なところだけ説明しておこう。スペイン語の音韻の体系については<5. 綴りと発音の関係>のところで改めて説明する。
- [θ] は英語にもある舌先を歯で挟んで出す音だ。英語では ”th" の綴りに対応する。この音はスペインのスペイン語に特徴的で、この音を使っている人がいたら「ああスペイン出身だな」と分かる。一方、同じスペインでもスペイン南部のアンダルシア地方、そしてラテンアメリカのスペイン語では、この音の代わりに [s] が使われる。
- [x] は、「ハ」「ヒ」「ホ」「ヘ」の音を出すのに勢いよく息を吐き出した時に出る音と同じ。
- [β] は、語中で [b] のつもりで発音すると、特に気をつけなくても語中ではこの音になる。
- [eʎe] と [eʝe] は、それぞれ「エリェ」「エジェ」と発音する。「エジェ」の発音は、スペイン南部、メキシコ、カリブ地域のスペイン語で用いられる。
- 右側の列の最初の二つの綴りの発音記号 [eɾe] と [ere] は、よく見ないと区別がつかない。最初の [eɾe] のほうは、r が少し欠けているのが分かるだろうか。この記号は日本語の「リ」「レ」の子音の音。一方、二番目のほうの [ere] はいわゆる「巻き舌」で「リ」「レ」の子音を出すときに口の中の天井を舌先で一度弾いているのを二度以上弾いた音。「巻き舌」というが舌を巻いても(?)この音は出ない。矢沢永吉風に「っだっかっルルラぁ」と言ったときに出る音。「サンドイッチマン」の伊達みきお氏もよく使う。
- [i gɾieɣa] の [ɣ] も語中で [g] のつもりで発音すると、この音になる。
a | [a] | j | [xota] | r | [eɾe] |
b | [be] | k | [ka] | (rr) | [ere] [doβle eɾe] |
c | [θe] [se] | l | [ele] | s | [ese] |
(ch) | [tʃe] [θe atʃe] [se atʃe] | (ll) | [eʎe] [eʝe] | t | [te] |
d | [de] | m | [eme] | u | [u] |
e | [e] | n | [ene] | v | [uβe] |
f | [efe] | ñ | [eɲe] | w | [doβle u] [uβe doβle] |
g | [xe] | o | [o] | x | [ekis] |
h | [atʃe] | p | [pe] | y | [i gɾieɣa] |
i | [i] | q | [ku] | z | [θeta] [seta] |
モデル発音をしっかりと聞いて、同じ音が出せるように練習しよう。