スペイン語の音 Fonología de la lengua española

2.1. アルファベットと発音は別
El alfabeto y la pronunciación, dos cosas diferentes

アルファベットと発音は別

 アルファベットと実際に話される言語の発音は別だ。"Spanish" を "s-p-a-n-i-s-h" と一つ一つ発音することは日常生活ではない。そういう意味ではアルファベット一つ一つの発音を覚えなくてもその言語を話すことはできる。

記号としてのアルファベット

 一方でアルファベットは記号として重要な機能を担っている。数字と同じくらい重要だ。教室を識別するのに "A204" だとか "M301" とか読んだりしていることを考えればそのことはよく分かる。授業の成績も昔は「甲乙丙丁」だったりしたが、今は "AA" や "B" や "D" だったりする。"AA" を目指して欲しい。大学によっては "AA" は "S" だったりする。こんな話をする時にもアルファベットの発音の知識が必要になる。

綴りを説明するのにも必要

 もう一つアルファベットの発音の知識が必要になる場面は綴りを説明する時だ。「スペイン」はスペイン語では "España" だよ、と言う話をする時に、文字に書かないで音で説明するには "e-s-p-a-ñ-a" というように綴りをアルファベットに分解して一つ一つ発音することになる。英語の発音でいいじゃないかと思うかもしれないが、 "ñ" は英語にない。どうする。スペイン語圏の人と話すときは勿論スペイン語式のアルファベットの発音でやりとりする。スペイン語を学習する中でスペイン語のアルファベットが果たす役割は大きい。

名前の綴りを説明するのにも必要

 固有名詞は私たちの日々のやりとりの中でとても重要なジャンルの語彙だ。中でも人の名前は特に重要。スペイン語ではしょっちゅう相手の名前を会話の中に挟み込むからますます重要。そして日本語の名前は "Doraemon" ぐらい有名でないと日本以外では知られていない。そうなると自分の名前はどう綴るかという説明をしょっちゅうすることになる。日本語でも「どう書くの?」というやりとりをするのと同じだ。少なくとも自分の名前の綴りが言えるようにしておこう。さらに日本語母語話者にはスペイン語圏の人々の名前も聞きなれないことが多い。上に書いたように相手の名前を呼ぶことはスペイン語の文化ではとても大切だから、誰かと知り合いになったらできるだけ早くその人の名前を覚えなければいけない。その時に相手の名前の綴りを尋ねる必要が出てくる。

スペイン語のアルファベットを覚えよう

 以上のようなわけでスペイン語のアルファベットを覚えることには重要な意味がある。アルファベットの発音を覚えながらスペイン語の音の体系に近づいてみよう。